不動産売却と離婚に伴う住宅ローンや家売却を埼玉県春日部市で円滑に進める実務ガイド
2026/09/06
離婚を考えているものの、住宅ローンが残る家を売却できるのか、不安を感じていませんか。結論からいえば、売却代金と必要に応じた自己資金で住宅ローンと売却費用を精算できれば、通常の方法で売却できます。一方、完済に必要な金額が不足する場合は、売買契約を結ぶ前に金融機関との協議が必要です。また、不動産の所有名義と住宅ローンの契約者は、別々に確認しなければなりません。本記事では、埼玉県春日部市で離婚に伴う家の売却を検討している方に向けて、最初に確認すること、完済できるかの判断方法、夫婦間で決めておく事項、任意売却を検討する条件まで順番に解説します。
目次
離婚時に住宅ローンが残る家を売却する基本手順
最初に確認するのは所有名義・ローン契約・完済必要額
離婚に伴って家を売却するときは、すぐに売却活動を始めるのではなく、最初に「不動産の所有名義」「住宅ローンの契約関係」「完済に必要な金額」を確認します。登記事項証明書で土地・建物の所有者と持分を確認し、住宅ローンについては、債務者、連帯債務者、連帯保証人が誰になっているかを契約書や金融機関への問い合わせによって確かめましょう。
次に、不動産会社へ査定を依頼し、売却予定価格から仲介手数料や登記費用などを差し引いた金額で住宅ローンを完済できるか計算します。完済できる見込みがあれば通常の売却を進められますが、不足する場合は、自己資金で補えるかを確認し、それも難しければ売買契約を結ぶ前に金融機関との協議が必要です。
売却の基本的な流れは、名義とローンの確認、査定、夫婦間での売却条件の合意、媒介契約、売却活動、売買契約、決済・引渡しです。共有名義の家を全体として売却するには共有者全員の協力が必要となるため、売出価格や売却時期、費用の負担、売却後の代金の扱いについても早めに整理しておきましょう。
住宅ローンが残る家を売却できる3つのケース
住宅ローンが残っていても、家を売却することは可能です。ただし、売却後に抵当権を抹消できるかによって、進め方が次の3つに分かれます。
1つ目は、売却代金から仲介手数料や登記費用などを差し引いても、住宅ローンを完済できるケースです。この場合は、売却代金の受領とローン完済、抵当権抹消を決済日に同時に行うことで、通常の方法で売却できます。
2つ目は、売却代金だけでは少し不足するものの、その不足額を自己資金で補えるケースです。決済日までに必要な資金を準備できれば、通常の売却を進められる可能性があります。
3つ目は、売却代金と自己資金を合わせても完済できないケースです。この場合は、金融機関の承諾なしに抵当権を抹消できないため、売買契約を結ぶ前に金融機関へ相談しなければなりません。返済の継続が難しい状況では、任意売却を検討する場合もあります。
判断するときは、「売却予定価格-売却に必要な諸費用」と「決済日時点のローン完済必要額」を比較します。査定価格で必ず売れるとは限らないため、余裕を持って資金計画を立てることが大切です。
所有名義と住宅ローン名義は別々に確認する
離婚時の家売却では、不動産の所有名義と住宅ローンの契約関係を分けて確認する必要があります。不動産の所有者は登記事項証明書、住宅ローンの債務者・連帯債務者・連帯保証人は金銭消費貸借契約書などで確認できます。
夫婦共有名義の家を全体として売却する場合は、原則として共有者全員が売主となり、売買契約や所有権移転の手続きに協力しなければなりません。一方、単独名義であれば、原則として登記名義人が売主になります。ただし、婚姻中に夫婦の協力で取得・維持した家は、単独名義であっても財産分与の対象となる可能性があるため、売却代金の扱いは別に整理する必要があります。
住宅ローンについても、夫婦間で「離婚後は一方が返済する」と合意しただけでは、金融機関との契約内容は変わりません。債務者や連帯保証人から外れるには金融機関の承諾や審査が必要となり、希望どおりに変更できるとは限りません。
どちらか一方が家に住み続ける場合も、所有権だけを先に移したり、金融機関へ知らせずに返済者を変更したりせず、借換えや債務者変更が可能かを事前に金融機関へ確認しましょう。
離婚時に家を売るか、どちらかが住み続けるかなど、住宅ローン以外も含めた全体の考え方は「春日部市で離婚に伴う不動産売却を進める際の実務ポイント」でも解説しています。
売却代金で住宅ローンを完済できるか計算する
査定価格ではなく手取り見込み額で判断する
住宅ローンを完済できるか判断するときは、不動産会社の査定価格とローン残高をそのまま比較するだけでは不十分です。査定価格は実際の成約価格を保証するものではなく、売却代金からは仲介手数料、売買契約書の印紙税、抵当権抹消などの登記費用、住宅ローンの繰上返済手数料などが差し引かれます。
基本的な計算方法は、次のとおりです。
「想定される成約価格-売却に必要な諸費用-決済日時点のローン完済必要額」
計算結果がプラスなら、売却によってローンを完済できる可能性があります。マイナスになる場合は、その不足額を自己資金で補えるか、別の方法を検討する必要があります。
例えば、想定成約価格が2,500万円、売却諸費用が100万円、ローンの完済必要額が2,300万円なら、手元に残る金額の目安は100万円です。一方、完済必要額が2,450万円なら、約50万円不足する計算になります。
住宅ローンの返済予定表に記載された残高と、実際の決済日に必要な完済額は、利息や手数料によって異なる場合があります。売却時期の見通しが立った段階で、金融機関に完済予定日を伝え、正確な金額と手続きの期限を確認しましょう。
離婚時の家売却と財産分与を整理する
売却前に夫婦で決めておきたい7つのこと
離婚に伴う家売却では、不動産会社へ正式に売却を依頼する前に、夫婦間で売却条件や費用負担を整理しておくことが大切です。少なくとも、次の7項目を確認しておきましょう。
1.家を売却するのか、どちらかが住み続けるのか
2.査定や不動産会社との連絡を誰が担当するのか
3.売出価格と、どこまでの価格なら売却に同意するのか
4.売却までの住宅ローン、固定資産税、管理費などを誰が負担するのか
5.内覧への対応、引越し時期、残置物の片付けをどうするのか
6.売却代金でローンを完済できない場合、不足額を誰が負担するのか
7.ローンと売却諸費用を差し引いた残金をどのように扱うのか
話し合った内容は、口頭だけにせず、日付を付けた書面や記録として残しておくと認識のずれを防ぎやすくなります。ただし、売却代金を必ず半分ずつ分けるとは限らず、不動産の名義や持分だけで財産分与の割合が決まるわけでもありません。
夫婦間で意見が対立している場合や、財産分与の対象・割合について判断できない場合は、不動産会社だけで結論を出さず、弁護士へ相談したうえで売却を進める必要があります。
家の名義だけでは財産分与の対象か判断できない
財産分与の対象となるのは、原則として、婚姻中に夫婦が協力して取得または維持した財産です。そのため、家が夫または妻の単独名義であっても、婚姻後に夫婦の収入などを基に購入し、住宅ローンを返済してきた場合は、財産分与の対象となる可能性があります。
一方、婚姻前から一方が所有していた財産や、婚姻中に相続・贈与によって取得した財産は、原則として財産分与の対象外と考えられます。ただし、婚姻中の返済状況や維持管理への貢献などによって判断が複雑になることもあるため、名義だけで結論を出さないことが大切です。
家を売却する場合は、売却代金から住宅ローンの完済額と売却諸費用を差し引いた金額が、夫婦間で分け方を話し合う際の一つの基準になります。ただし、その残額を必ず半分ずつ分けると決まっているわけではなく、預貯金などを含めた夫婦の財産全体を踏まえて整理します。
なお、2026年4月1日以降に離婚した場合、家庭裁判所へ財産分与を求める申立てができる期間は、原則として離婚した日の翌日から5年以内です。2026年4月1日より前に離婚した場合は、原則として2年以内となるため注意しましょう。
財産分与で家を移す場合は税金と登記も確認する
家を第三者へ売却して現金を分ける場合と、夫婦の一方が家を取得する場合では、税金や登記の扱いが異なります。財産分与だから税金が一切かからないとは限らないため、名義を移す前に確認が必要です。
国税庁の案内では、土地や建物を財産分与として相手へ渡した場合、渡した側に対して、その不動産の時価を基に譲渡所得が計算されます。値上がり益がある場合は、譲渡所得税が発生する可能性があります。一方、受け取った側には通常は贈与税がかかりませんが、分与された財産が事情に照らして多過ぎる場合などは、贈与税の対象となることがあります。
また、離婚によって氏名や住所が変わり、現在の氏名・住所と登記記録が一致していない場合は、売却手続きの前に変更登記が必要となることがあります。2026年4月1日からは、不動産所有者の住所・氏名変更登記が義務化され、変更日から2年以内の申請が原則となりました。
家を売却して現金で分けるのか、どちらかが家を取得するのかによって手続きが変わるため、税金は税務署や税理士、登記は司法書士へ事前に確認しましょう。
売却代金で住宅ローンを完済できない場合の選択肢
オーバーローンでもすぐ任意売却になるわけではない
家の売却予定価格より住宅ローンの完済必要額が多い状態を、一般にオーバーローンといいます。ただし、オーバーローンだから必ず任意売却になるわけではありません。
まず、実際に想定される成約価格、売却諸費用、金融機関が示す完済必要額を確認し、不足額を計算します。不足額を自己資金で補える場合は、通常の方法で売却できる可能性があります。どちらかが家に住み続ける場合は、借換えや債務者変更が可能か金融機関へ相談する方法もあります。
売却代金と自己資金を合わせても完済できず、住宅ローンの返済継続も難しい場合に、任意売却が選択肢となることがあります。任意売却とは、住宅ローンを完済できない状態でも、金融機関などの債権者から抵当権抹消の承諾を得て売却する方法です。
金融機関が必ず任意売却に同意するわけではなく、売却価格、売却期限、売却諸費用の扱い、売却後に残る債務の返済方法などについて個別の協議が必要です。完済できない可能性がある場合は、金融機関の承諾を確認しないまま売買契約を結ばないようにしましょう。
任意売却は金融機関の承諾と売却後の返済計画が必要
任意売却を進める場合は、最初に住宅ローンを借りている金融機関や、金融機関から案内された債権回収会社へ相談します。一般的には、次のような順番で進めます。
1.住宅ローンの残高、返済状況、家の査定価格を確認する
2.金融機関へ任意売却を希望する事情を説明する
3.金融機関と売出価格、売却期限、売却諸費用の扱いを調整する
4.買主が決まったら、売買価格や代金配分について最終的な承諾を得る
5.決済時に抵当権を抹消し、売却後に残る債務の返済方法を協議する
任意売却が成立しても、売却代金で返しきれなかった住宅ローンが自動的になくなるわけではありません。残った債務の返済額や返済期間は、債権者との協議によって決まります。
また、「任意売却をしたこと」だけで信用情報への影響が決まるわけではありません。信用情報には、返済の延滞、代位弁済、強制回収手続などの客観的な事実が登録されます。返済が難しくなりそうな場合は、支払いを放置せず、早い段階で金融機関へ相談することが重要です。
夫婦間で売却や残債負担について対立がある場合は弁護士、登記手続きは司法書士、売却後の債務整理が必要な場合は弁護士や司法書士など、問題に応じて相談先を分けましょう。
春日部市で離婚に伴う家売却を進めるときの相談先
春日部市での査定は価格だけでなく完済の見通しまで確認する
春日部市で家の査定を受けるときは、提示された査定価格だけで不動産会社を選ばないことが大切です。同じ春日部市内でも、駅からの距離、土地の広さや形状、接道状況、建物の築年数・維持状態、境界や越境の有無などによって、売却条件は変わります。
査定を依頼する際は、価格の根拠と想定される売却期間に加えて、仲介手数料や登記費用などを差し引いた手取り見込み額も確認しましょう。住宅ローンの完済必要額と比較することで、通常の売却が可能か、自己資金が必要か、金融機関への事前相談が必要かを判断しやすくなります。
高い査定価格が、そのまま実際の売却価格になるとは限りません。離婚時は売却時期も重要になるため、価格だけでなく、夫婦の希望する時期に売却できる可能性や、価格を見直す場合の基準まで説明してくれる不動産会社を選びましょう。
相談内容に応じて専門家を使い分ける
離婚と住宅ローンが関係する家売却では、一つの相談先だけですべてを解決できるとは限りません。不動産の査定や売却方法は不動産会社、ローンの完済額や契約変更は金融機関、財産分与や夫婦間の対立は弁護士、住所・氏名変更や所有権移転などの登記は司法書士、譲渡所得などの税金は税務署や税理士が主な相談先となります。
春日部市では、離婚や不動産などに関する予約制の法律相談も実施されています。実施日や予約方法は変更される場合があるため、利用するときは春日部市公式ホームページで最新情報を確認しましょう。
まとめ
住宅ローンが残っていても、売却代金や自己資金でローンを完済できれば、離婚時に家を売却できます。まずは所有名義と住宅ローンの契約関係を確認し、売却諸費用を差し引いた手取り見込み額と、決済日時点の完済必要額を比較しましょう。
完済できない場合も、すぐに任意売却と決めるのではなく、自己資金で補えるか、どちらかが住み続けられるか、金融機関との協議が必要かを順番に整理します。夫婦間で決めた内容だけでは住宅ローン契約は変更されない点にも注意が必要です。
かりゆし笑会では、春日部市の家について、売却を決める前の段階から査定や住宅ローン完済の見通しを一緒に整理しています。「売るかまだ決めていない」「何から確認すればよいか分からない」という段階でも、状況を整理したうえで次の進め方を考えることが大切です。
